2005年11月14日

『きよしこ』重松 清(新潮文庫)

うまく気持ちを伝えられないもどかしさは、誰もが感じたことのある悲しさだろうと思う。

自分自身はもちろん、大切な人も傷つけてしまう悲しさは、見えないトゲのように、ときおり表れてはチクチクと心を刺す。

このうまく気持ちを伝えられない悲しいもどかしさは、他人が推し量れることではないが、吃音ならばなおのこと大きいのだろうと思う。

しかも、その吃音の原因を招いたのが大切な人の心遣いがきっかけに出てしまったものだとしたら、もどかしさを感じる度に、より深い、やり場のない悲しみに包まれるのかもしれない。

ただ、だからといって不幸の中で生き続けているのかといえば、それはやはり違うのだろう。何が違うのかは、残念ながらよくわからないけど。そもそも幸せが何なのかという延々と続く長い階段を上らなきゃならないからだ。

でも、この「きよしこ」を読むことで、分かるのではなく、なんとなくそれを感じることができたような気がした。

これまでそれほど多くの重松作品を読んでいるわけではないけれど、今回読んだこの「きよしこ」は一番好きな作品になるかもしれない。

『リクナビ』きよしことは関係ないけれど、重松 清が載っていたのでリンク
http://next.rikunabi.com/rebuke/s_shigematsu_3.html

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2005年11月06日

『燃えよ剣 (上下) 』司馬 遼太郎(新潮文庫)の感想

あってないようなブログだけれど、これまでいくつかの本の感想を書いてきたのだから、読んだ本の感想はせっかく(?)なので今後もできるだけ書いていきたいと思う。けれど、書こうとパソコンの前に向っても、感想が書きにくい本というのがある。

理由は本によっていろいろだけれど、たとえばこの『燃えよ剣』もそういう本だ。「土方さん格好良い!」という感想が前に出てきてしまって、いまいちどう書いていいのかわからない。単に文章を書くのが苦手だからといったらそれまでなんだけれども、ホント土方さん格好良いで感想が終ってしまう。

歴史的にどんな意義があったのかとか、結果として何ができたかというような、掛け値に対して利益を求めるような人の世の中で、信念を貫き、一己の存在として潔く散っていった土方の、まざまざとした生き様がえがかれている作品……

というようなもっともらしい(?)感想を書こうとすると、体裁だけで何か読み終えた感想と少し違う気がする。やっぱり、とにかく、土方さん格好良い作品でした。


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2005年10月19日

『天皇(エンペラドール)の密使』丹羽 昌一(文春文庫)の感想

『天皇の密使』は、1914年のメキシコ革命期のさなか、一人の若い下級外交官が日本人移民のために命をかけて奔走したという物語。先日テレビで放映された杉原千畝の「六千人の命のビザ」を少し思い起こすような、実話をもとにした作品だ。第12回サントリーミステリー大賞(2003年に20回をもって中止)の、大賞受賞作でもある。

「六千人の命のビザ」に少し似ていると書くと、感動物語なのかと思う人もいるかもしれないが、似ているのは一人の外交官が信念と責務を貫き、多くの人を救ったという点で、テイストはだいぶ異なってる。こちらは冒険活劇にミステリーを混ぜたような内容になっており、主人公が革命軍の指導者と渡り合い、謎の殺人事件を解決し、移民を戦火に覆われた地から救い出すというものだ。

上のような紹介だけ見ると、ちょっとおもしろそうと興味を持つ人もいると思う。そう、実際に舞台や設定は非常におもしろかった。ところが、残念なことに、この小説は素材が生かしきれずにまとめられていた。巻末に掲載されている賞の選評者のコメントも、少し著者をフォローしてあげたくなるような辛辣なものばかりだったが、まあ、仕方ないだろう……と思ってしまうものだった。

そのため、この小説を読んで一番強く思ったのは、「誰か別の人がこの設定で書いてくれないかなー」というもの。この小説がどこまで実話なのかはしらないけれど、素材としてはとてもおもしろものだと思う。実話をまとめた本はあるのかな?

ところで、この小説や先日の「ドミニカ移民訴訟」のニュースを見て、改めて明治・大正期に多くの移民が行なわれているのを知った。ハワイやアメリカ、ブラジルだけでなく、アルゼンチンやペルー、ボリビアなどの各地に移民が行なわれていたらしい。

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2005年10月18日

『親指さがし』山田 悠介(幻冬舎文庫)の感想

以前読んだ『リアル鬼ごっこ』より、かなりうまくなっていた。「恐い」という表現をそのまま「恐い」と表したり、会話でストーリーを進めようとしたり、語彙が稚拙過ぎたりと、技術的に貧しい部分は多かったけれど、読み終えた感想としては、今回はけっこう楽しんで読めた。

ただ、設定がおもしろかっただけに、もっと文章のうまい人ならエンターテイメント作品としてもっと楽しめたんじゃないかなという感想も持った。『リアル鬼ごっこ』のときもそうだったけれど、山田悠介は題材自体は悪くはないと思う。読んでいないけれど、『Aコース』あたりも、背表紙や帯だけだと興味をひかれるものがある。だから、おそらく本屋で思わず手に取ったり、買ってしまった人も多いんじゃないかな(実際『リアル鬼ごっこ』は買った時の帯に20万部と書いてあったけれど、先日本屋で見たものは40万部になってたから、買ってしまった人が多いんでしょう)。

このように褒めるようなことを書いておいてなんだけれども、人に薦めるかどうかは微妙なところ。読書数が多い人や文学が好きな人、あるいはマンガとかを見ない人は耐えられないかもしれない。でも、電車で読みはじめたら、下車した駅のゴミ箱に投げ捨てたくなる『リアル鬼ごっこ』とはだいぶ違っていると思う。ヘタなことはヘタなんだけど、成長がうかがえるだけに『リアル鬼ごっこ』の連想だけで切って捨てるのは早計かもしれない。

ちなみに、最初に技術的に貧しいと書いたけれど、この文庫通してもっともくだらなかったのは巻末の解説。中森明夫とかいうコラムニストが書いているんだけれど、低俗過ぎて読むにたえない。山田悠介をフォローするつもりで書いんだろうけれど、主対象となる高校生あたりにおもねっているのか何なのか、小説の質を下げる役目しか負っていない。言葉の使い方を除いても非常に醜い文章だった。


最後に大まかなあらすじ
女の子が「親指さがし」という遊びを持ちかけたことが発端となる物語。「親指さがし」は、無残に切り刻まれて殺された女性の、親指だけが見つからないという事件があり、その親指を探しにいこうというゲームだ。その肝試しに似た、子ども同士のたわいのない遊びに過ぎなかったはずなのに、一人の女の子が消えてしまう。女の子が消えてから数年が経ち、20歳を迎えた主人公たちはその少女を探しに行く・・・。


posted by meme_jam at 23:56| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年10月12日

グルミット消火できず……

「ウォレスとグルミット/野菜畑で大ピンチ!」がアメリカで封切られて早々の10月10日、アードマンの倉庫で火事が発生したとのこと……

そして、これまでのウォレスとグルミットのフィルムや人形、模型が焼失してしまったとのこと……

もったいない、もったいない。・゚゚・(>_<;)・゚゚・。

ウォレスはともかく(彼は慌てて転んでそう)、グルミットならサッと消防服に着替えて、暴れる放水ホースにビョンビョンはじき飛ばされそうになりながらも、消火できたはずなのに。

ほんと、もったいない。・゚゚・(>_<;)・゚゚・。

ちなみに、「ウォレスとグルミット/野菜畑で大ピンチ!」の日本公開は2006年3月18日からとのこと。楽しみ♪

「ウォレスとグルミット/野菜畑で大ピンチ!」オフィシャルサイト
http://www.wandg.jp/teaser/index.html


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2005年10月01日

クレヨンしんちゃんで泣くとは思わなかった

さっき見た「クレヨンしんちゃん・嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦」のはなし。

子ども向けに作ったアニメなのに、随分歴史考証しっかりしているなーと思いながらぼーっと見ていたんだけれども、途中からけっこう引き込まれていった。

自動車で先にすすむお姫様と、追いつけない又兵衛さんの暗示的なシーンや、合戦直前の結果を想定できる大人の視点と、シンちゃんのいろんな意味で無垢な子どもの視点の相違など、うまいなーと思うところがけっこうあった。

最初の方の、ヒロシの「しんのすけのいない世界に未練なんてあるか?(確かこんなセリフ)」とか、ミサエが刀を持ってしんのすけを助けに行ったところなんかも、陳腐な言い方になるけれど、親子愛が現れているようでよかった。

そして、最後、又兵衛さんの馬上から崩れるシーンと、その後のお姫様の姿は本当に泣いてしまった。拭ったシャツの袖が濡れてしまうくらい涙が出た。身分によるかなわぬ恋と生きるための戦争という、よくあるパターンといえばそうなんだけれども、それがうまくまとめられていて、素直に涙が出た。

ただ、見終わって、この文章を書いていて改めて思ったことが1つ。しんちゃんくらいの子どもが見ても、内容がよくわからなかったんじゃないかなーということ。一緒に見る親に向けて作った映画だったのかな? ともかく、子ども向けのアニメだからという理由で、大人が見ないのはもったいない良い作品だった。

posted by meme_jam at 22:43| Comment(0) | TrackBack(0) | テレビ・映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年09月26日

のっぽパン

nopo.jpg
ひょんなところから手にいれた「のっぽパン」。

「おお、懐かしいー」と言ったら、「懐かしいって、何が?」と、友達に言われた。その場にいた他の人にも聞いてみても、誰もこの『のっぽ』パンを知らなかった。

アレ?っと思って検索をかけてみたら、この「のっぽパン」、全国区のパンじゃなかった。というか、販売元が沼津市にあって、静岡県の東部周辺が主な販売地域らしい・・・・。誰ものが子どもの頃に食べたことがあると思っていただけにちょっとショックだった。おいしいのに。

ちなみに「のっぽワールド」という「のっぽパン」ファンによる「のっぽパン」を楽しむためのサイトがあった。「のっぽパン」の歴史や文化圏を調査して報告したりしている。凄い!
http://www.geocities.jp/noppo_world/

知らない人のための備考:「のっぽパン」はキリンがパッケージの、長さ30センチくらいのおやつパン。中にクリームやチョコなんかが入っていて、値段は100円程度。
posted by meme_jam at 22:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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