2005年10月18日

『親指さがし』山田 悠介(幻冬舎文庫)の感想

以前読んだ『リアル鬼ごっこ』より、かなりうまくなっていた。「恐い」という表現をそのまま「恐い」と表したり、会話でストーリーを進めようとしたり、語彙が稚拙過ぎたりと、技術的に貧しい部分は多かったけれど、読み終えた感想としては、今回はけっこう楽しんで読めた。

ただ、設定がおもしろかっただけに、もっと文章のうまい人ならエンターテイメント作品としてもっと楽しめたんじゃないかなという感想も持った。『リアル鬼ごっこ』のときもそうだったけれど、山田悠介は題材自体は悪くはないと思う。読んでいないけれど、『Aコース』あたりも、背表紙や帯だけだと興味をひかれるものがある。だから、おそらく本屋で思わず手に取ったり、買ってしまった人も多いんじゃないかな(実際『リアル鬼ごっこ』は買った時の帯に20万部と書いてあったけれど、先日本屋で見たものは40万部になってたから、買ってしまった人が多いんでしょう)。

このように褒めるようなことを書いておいてなんだけれども、人に薦めるかどうかは微妙なところ。読書数が多い人や文学が好きな人、あるいはマンガとかを見ない人は耐えられないかもしれない。でも、電車で読みはじめたら、下車した駅のゴミ箱に投げ捨てたくなる『リアル鬼ごっこ』とはだいぶ違っていると思う。ヘタなことはヘタなんだけど、成長がうかがえるだけに『リアル鬼ごっこ』の連想だけで切って捨てるのは早計かもしれない。

ちなみに、最初に技術的に貧しいと書いたけれど、この文庫通してもっともくだらなかったのは巻末の解説。中森明夫とかいうコラムニストが書いているんだけれど、低俗過ぎて読むにたえない。山田悠介をフォローするつもりで書いんだろうけれど、主対象となる高校生あたりにおもねっているのか何なのか、小説の質を下げる役目しか負っていない。言葉の使い方を除いても非常に醜い文章だった。


最後に大まかなあらすじ
女の子が「親指さがし」という遊びを持ちかけたことが発端となる物語。「親指さがし」は、無残に切り刻まれて殺された女性の、親指だけが見つからないという事件があり、その親指を探しにいこうというゲームだ。その肝試しに似た、子ども同士のたわいのない遊びに過ぎなかったはずなのに、一人の女の子が消えてしまう。女の子が消えてから数年が経ち、20歳を迎えた主人公たちはその少女を探しに行く・・・。


posted by meme_jam at 23:56| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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