2005年12月26日

『博士の愛した数式』小川 洋子(新潮文庫)

心温まるストーリーという予備知識だけで手にとったため、博士の記憶が80分しか続かないという設定が出てきたところで、歩いている際に後ろから襟を引っ張られるようなつまずきを覚えた。

病気や死がキーワードになった話は嫌いじゃないけど、ちょっと食傷気味な気分があったからだ。

でも、読み進めるうちに、ふんわりとした物語の流れに、そういう気分もなくなった。特別なことのない毎日を追っていくことが楽しく、本を開いてからそのまま最後まで読み通すことができた。ルートが優しい人間に育ってくれたのがよかった。

ただ、他の感想でグロいだのなんだの文句を書いておきながら勝手な話だけど、なんとなく物足りなさも少し残った。3冊しか読んでないから比べようもないけど、他の書評にあるような、この本が小川洋子で1番ってことはないような気もした。

ところで、読んでいる途中、博士と家政婦さんはいつ結婚するのかなーと考えていたんだけど、こういう見方って、二人の姿を見てヒソヒソ噂話を立てる周囲の目と同じだよなーと、あとで格好悪さを感じた。

愛情(心の繋がり?)を短絡的に結婚などの二人の関係に結びつけちゃうのは、無粋というか、さもしいというか。自分のことながら、つまらない人間だなー。

posted by meme_jam at 18:20| Comment(3) | TrackBack(2) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして。
この本の博士のことを思い出すと
ださくなく懐かしい気分になって癒されます。
たしかにちょっとゆる〜っとしたまま終わったかな〜
とゆう気分も残りましたけど。
√の博士への愛情が子供らしくてでも大人で心温まりました。
Posted by zizi at 2005年12月28日 09:42
 私も三省堂の一押しのところに並んでいたので、オークションで落として読みました。
私の母はこれを読んで一言、
「現実離れした本だ」
と、かなり悲観的でしたが…。
 確かに「泣いてください! 」っていうお決まりに必ず泣ける場面があるのが、現実離れしているような気もします。
 ただ、私は何度も目頭が熱くなって、一気に読んだので、いい本だとは思いましたが。
 現実離れしているという部分は別として、ルートが先生なってくれたことが一番感動した部分でした。
 教える喜びを彼が見つけてくれたことが本当に嬉しかったのです。
 こんな形で自分に影響を与えてくれた人がいたら、自分もどんなにか楽しかっただろう…と、ルートが羨ましくなったのです。
 こうやって、小さいときに影響を受けた事が夢につながっていく、そんな子供がこの世にたくさんいたらいいなと、小川洋子さんの願いも込められているのかなと思いました。
話かわって、わたしも本好きで、ブログを作ってみたので、また、暇なときのぞいてやってください。トラックバックしますね。
 
Posted by ぶぅ坊 at 2006年01月05日 03:47
トラックバック、コメントありがとうございます。
ルートの博士へ愛情と、
その愛情や優しさを持ったまま
成長してくれた姿は、
読んでいて本当にうれしかったですよね。

日々の暮らしに追われていると
自分のことばかりを考えるようになってしまいますが、
こういう本を読むと、
いろいろなものに目が向けられて、
いとおしさを抱けるようになれる気がします。
(刹那的なものになってしまうのが
 悲しいというか、情けないところですが・・・)
Posted by meme_jam at 2006年01月09日 18:42
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